高雄内門宋江陣は毎年十数日間にわたって催され、主に文武陣頭のパフォーマンス、総舗師による饗宴、羅漢門迓仏祖といった内容が組み合わさったカーニバルが行われます。2005年からは主催者が全国の高校と職業高校を招いて「全国大専院校創意宋江陣頭大会」を開催しており、年に一度の高雄内門宋江陣は観光客の注目を集めるとともに、台湾の若年層が宋江芸陣を受け継ぐ気風を作り上げ、台湾最大の芸陣の祭典として知られることとなりました。開催会場は内門紫竹寺、順賢宮、南海紫竹寺の前の広場が毎年順番にメイン会場として使用されています。
高雄内門宋江陣の一番の見どころは文武陣頭のパフォーマンスです。初日は陣頭の大行列、最高規格の青刀巷を迎え入れるところから始まり、宋江陣、宋江獅陣、龍陣などの武陣、及び太平清歌陣、跳鼓陣、青鑼鼓陣、桃花過渡陣、七里響陣、牛犁陣などの文陣といった伝統的な陣頭が毎日参加し、創意工夫が凝らされた宋江陣によるパフォーマンスも順に行われます。伝統的な陣頭は全て地域住民によって構成されており、素晴らしい技術を披露します。その中でも七里響陣は内門特有の文陣で、音楽によるパフォーマンスを行う楽陣に属しています。曲目は非常に豊富で、その内容はどれも伝統的な戯曲を凝縮したもので、伝統的な農業社会の習俗と二、三百年の歴史を持つ民間芸陣の「原音」が保存された大変貴重な陣頭であると言えます。
宋江陣の伝統的な陣形は、小説『水滸伝』の登場人物「宋江」が城を攻める際に使用する武陣に由来すると言われ、陣容の人数や性別に制限はありません。通常は主に36人、72人で構成され、「36天罡、72地煞」(古代道教における天の星宿神の名)の化身であると言われ、100人を超える陣形もあります。後に伝統的な陣形に金獅子や白鶴などの瑞獣を取り入れた「金獅陣」と「白鶴陣」が生み出され、3つの陣形を合わせて「宋江三陣」と呼びます。陣形は「太極図」を基礎とした動きによって、龍吐耳、開四城門、走蛇泅、跳中尊、開斧、蛇脱殻、田螺陣、双套、連環套、蜈蚣陣、排城、破城、跳城、交五花、四梅花、八卦陣、黄蜂結巣、黄蜂出巣の「十八套」に変化し、その中でも「八卦陣」は最も威力のあることで知られています。
高雄内門区には屋外の宴席で調理を取り仕切る出張料理人「総舗師」が数多く存在し、本場の料理を提供しています。屋外に宴席を設ける風習は古くからのもので、内門の人々は神様の生誕日や住民の冠婚葬祭の際に宴席を設けて料理の腕を振るいます。内門宋江陣にも地元の食文化の特色が取り入れられており、内門は「総舗師の故郷」との名声を得ています。
かつて内門区は「羅漢門」と称され、清朝時代には台湾府政府の東屏の関門でした。羅漢門迓仏祖の巡行は200年以上の歴史があり、内門宋江陣は内門紫竹寺、順賢宮、南海紫竹寺が毎年順番で主催するため、迓仏祖の巡行ルートも毎年異なります。その年の主催を務める寺院から巡行に出発し、巡行ルートの距離に応じて4日間から5日間の日程が組まれ、信徒は毎日30キロから40キロの距離を歩いて観音仏祖の神輿の後ろを巡行します。数十組にも及ぶ陣頭が神輿を守護する様子は巡行隊列の一番の見どころであり、参加者の視線を集めます。神輿が通る道沿いには、商店や住民が設置した香案が並び、食べ物や飲み物が無料でふるまわれます。