真護宮前の造船所にあるヒノキの永祀王船は長さ13尺6(4.84メートル)、幅7尺(2.12メートル)で、1958年にタイワンヒノキを使って造られたものです。王船にはエンジン、舵輪、車輪が取り付けられており、古代中国の戦艦を模した外観で、船首には魔除けの効果を持つ縁起物の「剣獅」の模様が施されているほか、船体全体に色絵が施されており、船倉は真護宮を縮小したような外観です。前方には五府千歳、後方には湄洲天上聖母と普陀山観音仏祖が祀られています。この王船は王爺が南巡北狩に使用するもので、真護宮の鎮殿の神物として大切に収蔵されています。
焼却用の王船は複雑な作業を経て造られ、神様の鎮座だけでなく、着工、竜骨の取付け、マスト立てといった全ての工程で儀式が執り行われます。代天巡狩の神様が乗る船で航海が長時間に及ぶため、船内にはあらゆる設備が整えられ、航海、儀仗、文机などの必需品から日用品、整髪洗面用品、タバコ、賭具などの退屈しのぎのための道具が取り揃えられます。王船の仕様や外観は毎回異なり、廟内で神様に指示を仰いだ上で建造方法が決定されます。多くの場合、長さ10メートル、幅3メートル、メインマストの高さが10メートル前後の規模で、古代中国の戦艦を模した外観に色絵が施され、上部には王爺の令旗と華やかな神様の張り子が設置され、縁起の良い時間帯に焼却され、送王と呼ばれる王を見送る儀式が行われます。