紫南宮の土地公から「発財金」と呼ばれる現金を借りる風習は、台湾光復後、お金を必要とする信徒にお賽銭を「福徳金」として提供していたことに由来します。借りられる「福徳金」の上限額は、中華圏では数字の6は縁起がいいとされていることから、1987年より1人600元まで引き上げられ、現在まで変わっていません。お金は次の手順で借りることができます。
借りてから1年以内にご利益に対する感謝のお賽銭を添えて返すことが風習となっていますが、その金額は人それぞれで、お金を返した後すぐにまた土地公にお金を借りに行く敬虔な信徒もいます。お金は返済カウンターで返すことができるほか、台湾郵便局の「現金袋」にご祝儀袋「紅包袋」を添え、中に名前、電話番号、身分証明書番号を記入し、紫南宮に郵送することも可能です。
古くから社寮地区で旧暦1月16日に行われている民俗行事「吃丁酒」は「吃福」とも呼ばれ、結婚の喜びや男児が生まれた喜びを地域の住民と分かち合うというものです。「丁」とは男性を指し、もともと吃丁酒では、前年に社寮紫南宮の管轄地区である5つの隣組で結婚・出産があった家の者が旧暦1月15日の元宵節に去勢した雄鶏「閹鶏」を土地公に供え、1月16日朝に廟内で鶏のとさかやお尻などの部位を切り落として男児が生まれた家の者が持ち帰り、残りの鶏肉は各家庭から参加した有志によって廟内で調理され、信徒にふるまわれていました。初期の吃丁酒の参加者は近隣住民に限られていましたが、ちょうど吃丁酒の時期に進香に訪れる信徒が多く、客人をもてなす気持ちから、現在のように全国から信徒が訪れる規模の行事へと発展を遂げました。吃丁酒は次の流れで進みます。 一、お供え物を準備する:新婚の家は「豚の頭」1個と米酒1瓶を準備し、再婚した家は「豚の前足」1個と米酒2瓶を準備し、男児が生まれた家は「閹鶏」1羽と米酒1瓶を準備します。新婚で男児が生まれた家は両方のお供え物を準備します。女児が生まれた家は「雌鶏」1羽、「鶏卵」数個、米酒1瓶を準備します。 二、吉報を知らせる:廟内では祝い事を知らせる専門の「報喜人」が招かれて銅鑼や太鼓を鳴らして人々に吉報を知らせます。 三、お供え物を切り分ける:新婚の家には、お供え物の「豚の前足」から豚肉を一部切り落とし、残った豚の頭にご祝儀袋「紅包」を添えて返します。男児や女児が生まれた家には、元宵節に廟内で祭祀儀式を行った後、お供え物の「閹鶏」と「雌鶏」から「頭」、「手羽」、「足」、「お尻」(通称四点金)を切り落とし、それに紅包を添えて返します。 四、吃丁酒:信徒が旧暦1月16日早朝に元宵節に供えられたお供え物で「麻油鶏」を作り、他のおかずやご飯と一緒に、正午に行われる「吃福」(吃丁酒)で台湾各地から訪れた土地公信徒にふるまいます。
旧暦8月15日の中秋節は土地公が悟りを開いて昇天した日で、秋は農民にとって収穫の季節でもあるため、信徒は五穀豊穣を土地公に感謝する風習があります。紫南宮で毎年中秋節に催される金鶏文化節では、大竹鶏のパレードや仮装舞踏会など様々な民俗の祭典が行われます。一番の目玉である擲筊大会では毎年1000人以上が参加し、一番多く「聖筊」を出した人に純金の金鶏が贈られます。