礼拝堂の建築様式は、初期キリスト教の「バシリカ」から発展したローマ建築とゴシック建築を模した様式を組み合わせたもので、建造費が安く、採光と視覚効果に優れているという点が特徴です。簡素な初期キリスト教教会の好例とも言えます。外観上の特徴として、門の多くは半円形で、窓は小さく内部の側壁が深く外開きで、1連、2連、3連窓があり、3連のものは真ん中の窓が大きくなっているという点が挙げられます。柱は太くて短いものや四角形の石が柱頭に使用されているものがあります。独立したレンガと木材の単層構造で中二階があり、当時の中国と西洋の建築様式が融合した外観となっています。急勾配の屋根が礼拝堂を高く見せ、正面に切妻を形成しています。最上部には十字架が設置され、正面の左右両側にはラテン十字のレリーフが彫られています。壁は漆喰の表面仕上げを必要としない良質の赤レンガを積み上げた造りで、入り口は両側の階段を上がったところに玄関があり、小さくも美しい視覚効果を生み出しています。
礼拝堂の正面上方には、古くから中国で縁起のいい動物として崇められてきた鰲龍を型どった吐水口があります。鰲龍は龍の頭と魚の体を持つ動物で、中国の寺院や伝統建築の梁や柱、屋根の装飾によく用いられます。礼拝堂の軒先に鰲龍の装飾を施すは極めて独創的で、教会の外観装飾として台湾で類を見ず、世界でも珍しい特色を持つキリスト教会となっています。
礼拝堂内には阿里山の杉を使った梁や柱などの骨組みがあります。柳原教会では建造100周年の際に梁や柱、窓などの改装と鉄骨構造で「回」の字型の中二階の増築が行われました。これによって新旧の構造が完全に分離され、内部空間の多様化が図られています。
初期キリスト教の「バシリカ」から発展したローマ建築を模した建築様式で、正面の切妻の左右両側には、造形美と採光の確保を考えたアーチ型の3連窓が設けられており、設計の創意工夫が垣間見えます。