黄栄泉牧師が設計・建設したもので、主に西洋の教会をコンセプトとしていますが、経験や技術、経費などの限られた条件のもとでは多様な外観装飾を施すことができず、石材本来の素朴な質感と壁面の線の変化のみを利用して芸術性を表現しています。入り口は四角形と円形の二層構造で「天国への鍵」をコンセプトとしており、ここを訪れた教徒は神の福音を聞き、天国への門をくぐることができると言われています。また、屋根の斜面はアーチ状の線で柔らかさを表現し、この教会が雲の上にある天国であることを暗示しており、遠くから眺めるとまるで丘の上に停まったノアの箱舟のようにも見えます。
屋根の上にある十字架は黄栄泉牧師が自ら制作したもので、壊れやすいという石材の特性を考慮して、曲線の細工には鉄筋コンクリートを使用しており、教会の外観に素朴でしっかりとした印象を生み出すと同時に、繊細で優美な変化を与えています。
当時は手作業で石材を切り出していたため、厚さや大きさにばらつきがありました。この問題を克服するため、黄栄泉牧師は二層構造の石壁を設計し、二つの層の間をセメントや鉄筋で補強することで、耐久性を強化すると同時に、外観の美しさも向上させました。
タイヤル族の伝統建築には竹と木材が材料として使用されます。以前にも、基国派教堂の建設地には竹造りの聖堂がありましたが、数年もたたないうちに使用不可の状態となっていました。そこで黄栄泉牧師はアメリカ人宣教師のジェームス・ディクソン牧師の助言を受け、石材で教会を建設する考えに至りました。最も称賛すべき点は、建設過程においてタイヤル族が示した伝統的な団結力です。積み重ねられた石材や砂利は、全て現地のタイヤル族が交通の不便な時代に各家庭で分担し、曲がりくねった道を経て近隣地域から運んで来たもので、よく見るとそれぞれ異なる削り跡があります。