頭城搶孤は伝統的な中元祭の儀式の一部であり、次のような流れで執り行われます。 一、旧暦7月1日:天神と老大公に祈りを捧げ、祭祀を開始する。 二、旧暦7月15日:「開蒙普施」の儀式を行い、供え物で先祖やこの世に戻って来た魂、老大公を供養する。 三、旧暦7月25日:神々を迎え入れる。 四、旧暦7月26日:道士が祭壇に入り、厄除け・幸福祈願の「安斗灯」を行う。 五、旧暦7月27日:盂蘭法会で開蘭の先賢を祀り、八大庄(現在の頭城鎮の24の里、及び礁渓郷玉石村と白雲村)で祭祀を行う。 六、旧暦7月28日:巡行、灯籠流し。 七、旧暦7月29日:子の刻に搶孤行事を開始。初めに飯棚搶孤を行った後、正式な搶孤を行う。
頭城鎮の村人たちは協力して孤桟を編み、搶孤のために力を合わせることで親交を深めます。高さ13メートルにも及ぶ孤桟には、鶏肉、鴨肉、豚肉、ちまき、イカ、ビーフン、エビ、カニなど様々なお供え物が置かれるため、藤縄のほかにナイロンやプラスチック製のロープやワイヤーを使用してとりわけ頑丈に作られます。
頭城搶孤では、主に「飯棚」、「孤棚」という棚がそれぞれ一つずつ使用されます。飯棚は「乞丐棚」とも呼ばれ、小さな棚の上に竹かごに入った白飯が置かれ、法師が「化食法術」を施して印相を結ぶことで、一つの食べ物が十に、十が百に、百が千に変化し、餓鬼の空腹を満たします。
「孤棚」は正式な競技に使用される棚で、下から順に3つの部分に分かれており、一番下の部分は12本の高さ約10丈の杉の木を支柱に、その上部に搶孤の難易度を高める「倒塌棚」が設けられます。倒塌棚の上には竹で編んだ高さ約11メートルのピラミッド型の孤桟が13個立てられ、鶏肉、鴨肉、豚肉などのお供え物が結び付けられます。最後に孤桟の先端には金牌と「順風旗」が取り付けられます。搶孤の難易度を高めるため、12本の柱には牛の脂が塗られており、参加者は無縁仏の供養の難しさを体感することになります。
搶孤は子の刻(深夜11時から1時)に開催され、5人一組で参加します。各チームで棚柱を1本使用し、道具として使用できるのは麻縄1本のみです。開始の銅鑼が鳴ったら、各チーム一斉に棚柱を登り始めます。棚柱には牛の脂がたっぷりと塗られているため、チーム内で協力して人間ピラミッドで1人目の選手を押し上げ、素早く孤棚の上部にある「倒塌棚」まで登り、鉄棒の「足掛け上がり」の要領で棚台に上がります。ここが搶孤で最も困難かつ刺激的で、参加者が転落しやすいポイントです。最初に孤桟を登り切り、先端にあるロープを切って順風旗と金牌を手にしたチームの勝利となります。