ゴシック建築を模としたもので、「台湾茶の父」李春生は、福建・アモイ一帯でヨーロッパの宣教師によって建てられた教会を参考にしたと伝えられています。外観上の特色としては、ゴシック建築の対称的な窓、小尖塔、切妻が挙げられます。さらに、ギリシャのコリント式(古代ギリシャの古典的な建築様式)のまっすぐで大きく、古典的な柱頭を持つ双柱によって、教会の外観が正確に三分割されており、キリスト教の父、子、聖霊の三位一体の教えを表しています。
旧礼拝堂はヨーロッパの教会を模したものですが、外観には洗石子の装飾が施された切妻があり、中国風・西洋風建築の古典的な様式の融合が見られ、台湾の伝統文様も多く使用されています。切妻の上部は滑らかな山なりの曲線で、両端には小尖塔があり、その下にはコリント式を模したの柱頭を持つ柱が一対あります。また、切妻の中央には、泥塑で周囲を装飾した牛目窓(洋風建築物には装飾と採光を兼ねた円形の窓があり、牛の目のような形状から牛目窓と呼ばれます)があり、その下にはゴシック建築の尖ったアーチと伝統的なレリーフがあります。これらは、日本統治時代の大正年間(1912~1926)に大稻埕一帯で一般的に見受けられた建築設計です。
台湾の建築様式では、門の数は1つ(城門、民家)、3つ(牌楼、寺院)または5つ(寺院前殿、牌坊)など、奇数であることが一般的で、偶数であることは多くありません。大稻埕教会の礼拝堂は左右に一つずつ門があり、当時の建築物としては非常に稀です。これは主に、男女に左右の入り口から別々に入ってもらうために作られたもので、保守的な習慣に応じながら、新しい教会建築の様式が設計されたことが窺えます。
外観が破損していたことから、2007年に元の外観を維持すると同時に、新しい教会ビルの建設空間を作るため、旧礼拝堂の敷地全体が掘り起こされ、両側のレンガ造りの壁も併せて前方に6メートル動かされました。その際、外観上には元のレンガが使用され、元の図面通りに建て直しが行われました。新しい教会ビルは凹型の設計で、旧礼拝堂を囲むように建てられ、台湾では他に例がない特殊な景観が形成されました。
礼拝堂内に大型パイプオルガンを備え、台湾では数少ない教会の一つです。このパイプオルガンはスイスのマティス社が製造したもので、ストップ数は40ストップ、パイプ数は2377本、機械式の鍵盤で、2013年に組み立てられました。現時点において台湾全土で4番目に大きいパイプオルガンで、信徒が聖歌を歌う際に荘厳なメロディーを奏でます。