恒春搶孤は開催日の夜8時に開始されます。参加者は規定時間内に主催者がばら撒いたお供え物の引換券を拾うと、引換券を品物と交換することができます。当初は直接お供え物をばら撒いていましたが、奪い合いの最中にお供え物が破損することがあったため、現在ではお供え物の引換券を飴に貼り付けて撒く方法が取られています。毎年搶孤の際は大勢の人が押し寄せてお供え物を激しく奪い合い、一連の催し物の中で最初の盛り上がりを見せる場面となります。
2011年以降、恒春搶孤の孤棚には高さ23メートルの原木36本が材料として使用されています。上端は直径30~40センチ、下端は直径50センチで、わずかに円錐状になっており、細長い部分と地面に埋められる部分を差し引くと、参加者が登る部分は約10メートルあまりとなります。原木の表面には登ることを難しくするために牛の脂がたっぷりと塗られ、下には落下防止ネットが張られ、最下部には細かい砂が敷かれます。原木の上には防錆処理が施された鉄材で縦横30メートルの孤棚が建てられ、その上にかつての恒春城の4つの城門を象徴する高さ5メートルの城壁が設置されます。そこにお供え物が並べられ、最上部には勝者の到着を待つ順風旗が取り付けられます。
恒春の爬孤棚では、36本の原木のうち東西南北の4本は「好兄弟」(無縁仏)が登るものとされ、競技には残りの32本の原木が使用されるため、参加チーム数は32組となります。参加者は満18歳以上の男性のみで、各チーム12人前後で構成され、人間ピラミッドを作って協力し合い、一歩一歩ゆっくりと登り、ロープを使って柱に塗られた牛の脂を取り除いてから、最上部に向かって登って行きます。頂上に到着した後は城壁を登り、最初に順風旗を手にしたチームの勝利となります。競技の過程は非常に刺激的で、その様子に多くの人が惹きつけられます。