西華堂は三開間三合院式の寺院建築で、山門をくぐると、コの字型の「凹寿」と呼ばれる形式の堂門、正殿、両側の廂房で構成されており、素朴な外観は早期の台湾の農村に見られた三合院と同様で、中央に配置された主体は堂門と拝殿を兼ね、大門は両開きの中門の両側に平常時の出入りに使う片開きの扉が設けられています。正殿の構造は重要な4本の柱「四点金柱」が石柱である以外は全て木造の柱で、前殿と後殿は切妻で繋がっており、中央に設けられた八卦月門が左右の廂房に通じ、左右の護龍は偏殿に繋がっています。また、堂門の外には広々とした前庭と庭園があり、山門の右側には蔵経閣が設けられています。
台南市西華街の入り口に設けられた山門は一般的な仏教・道教寺院の山門とは様式が異なり、白壁と赤瓦が用いられ、シンプルかつ素朴な装飾が施されています。
西華堂では1975年に最後の改修工事が実施され、台南の春源画室の巨匠・潘麗水が指揮を執り正殿内の色絵、門神、梁坊、扉の裙堵を全て手がけました。神棚の左右両側の壁堵に施された2枚の木彫りの壁画「迦葉付法」と「師子伝法」はどちらも仏教の逸話を題材にしています。潘麗水が手がけた門神の絵画は一般的な平面の色絵とは異なり、門神の二大護法神と側門の哼哈二将は特に立体感を追求し、グラデーションを多用して明暗を表現することで、より本物に近い人物像を作り出しています。
左廂房の右側の壁のそばには「西華祖堂碑記」、さらに左護龍の壁際には3つの石碑があり、表面には西華堂の改修の略史が刻まれています。これらの石碑は光緒年間から100年以上にわたって保存されてきたもので、台湾における齋教の歴史を物語っています。
西華堂に群生する老木の中には樹齢2~300年を超える「老梅樹」と呼ばれる梅の木があり、明朝の寧靖王・朱術桂(1617~1683)が植えたものだと言い伝えられています。近年、老梅樹が細菌に感染したことがありましたが、福田樹木保育基金会によって命を救われ、毎年冬になると梅の花が満開になり多くの観光客を惹きつけています。