清朝時代の鹿港天后宮を模した外観で、屋根と外壁には先端技術を活用した断熱ガラスが使用され、内部には木彫りや石彫りのほか、ステンドグラス、フュージングガラス、熱加工したガラスを組み合わせた装飾が施されています。また、屋根には融解したガラスを型に流し込んで造られた、反り上がった形状の軒が用いられています。廟内構造にはネジが一切使用されておらず、ガラスは全てクランプで固定されています。華人の伝統寺院には、主に忠孝節義、古代中国の二十四孝、神話などを題材にした木彫りや石彫りの装飾が施されますが、護聖宮ではそういった伝統にとらわれず、木彫りや石彫りに代わって先端技術を駆使したガラスを素材に使用し、門や壁面に台湾の地図、自然風景、各地の民俗祭典、台湾固有の動物、鳥類などの自然生態を題材にした独自の装飾を施しています。
正殿には華人にとって海の神様である「媽祖」が祀られています。その神像は、莆田市の祖祠、媽祖が生まれた場所、天に昇った場所、最初に祀られた場所、そして台湾で開基した場所である鹿港天后宮の全5箇所の媽祖像の表情を参考に造られたものです。神棚に祀られた媽祖像の後ろに見える台湾の最高峰「玉山」は、厚さ10ミリのガラスを1400枚重ね合わせて作り上げたもので、自然景観の美しさを立体的に表現するとともに、台湾ガラス産業における高度な技術を誇示しています。また、媽祖の神座は仏の手のような形をしたクスノキの流木から作られています。
玻璃廟に隣接する「台湾玻璃館」内にある全長12メートルのガラスの媽祖船は、運用を終えたガラス繊維製の漁船を塗装し直したもので、青と白の2色で大海原の波しぶきを見事に表現しています。また、船の周りでは海の精霊「タイワンシロイルカ」がジャンプし、船首には龍の頭を持つ2頭の「夔龍」の姿がガラスで装飾され、その間には2頭の夔龍に守られた台湾島が描かれています。