首廟天壇に祀られている玉皇上帝と他の寺院の玉皇上帝との最大の違いは、首廟天壇の正殿には神像がなく、聖位のみが祀られていることです。天には本来姿形がない存在であるため、神像は造らないという旨を記した「天地有大美而不言、四時有明法而不譲:冥冥之中自有主宰、唯天唯大:天本無相、故不造像」と書かれた案内板もあり、玉皇大帝の神像が祀られていない珍しい宮廟となっています。
首廟天壇の正殿は雄大な造りで、各時代の著名人から寄贈された数多くの扁額が掲げられています。特に「一」の字の扁額は極めて優れた作品で、台湾府城隍廟の「爾来了」、竹渓寺の「了然世界」と合わせて台南三大名額と並び称されており、一の字には「千算万算、天の一算に如かず」という意味が込められています。簡潔な中にも深い意味が込められ、力強い筆遣いで書かれており、扁額上の一の字の周囲には閩南語の押韻七言詩(7文字で1句となる詩)が12句記されています。左上から反時計回りに読むと、「玉皇上帝は賞を与えるべき者には賞を与え、罰を与えるべき者には罰を与えること、及び悪事を働くと報いを受ける」との旨が記されており、人間がいくら知恵を絞っても神様には及ばないことを警告しています。
大殿と後殿には国宝級の巨匠・潘麗水(1914~1995)の作品が計4点保存されています。潘麗水には首廟天壇内で神様に対して経を読むボランティア団体「経文社」の社長を務めたという経歴があります。一般的な寺院に見られる潘麗水の作品の多くは主に忠孝節義の物語を題材とした色絵ですが、首廟天壇には石彫りに色絵を施した特殊な作品が残されています。
三川殿前の回廊の左右両側にある吉祥璧堵は青斗石を積み上げて造られたもので、裙堵に施された石彫りには、文字、草花、人物、縁起の良い吉祥瑞獣などの紋様が多く用いられており、表面に剥離が見られる黄色の色絵は素朴で上品な美しさの中に古風な趣を感じさせます。これらは清朝時代に制作された作品です。
天壇首廟内には主祀神の玉皇上帝のほか、三清道祖、三官大帝など、道教の主要な神々が数十体祀られているため、道教の神々の祭典に関する研究においても重要な場所として認識されています。