以前の金門浯島迎城隍では、市街地の四方を巡行する「小迎」が毎年一度行われ、金城鎮の大部分に加えて金寧郷の一部の村まで巡行範囲が拡大される「大迎」が3年から5年に一度行われていました。1950年代以降は小迎のみが行われ、大迎が行われることはありませんでしたが、2016年に地元住民によって巡行範囲の拡大が提案されました。毎年行われる「小迎」では、後浦城の四方の東門、西門、南門、北門を巡行し、西・北門または東・南門が順番にその年の境主を務め、進香団の隊列は逆方向に向かって一周巡行します。
香陣の隊列の中で西門地域の陣頭に属する「托灯」は、表面に標準の字体で「浯島城隍敕封顕佑伯」と記された細長い灯籠で、背面には色絵による龍の紋様と「合境平安」の文字が記されており、これを「親勇」と呼ばれる人が掲げます。色鮮やかな縁起の良い装飾が施された托灯は、幸福と平安を祈願する金門島迎城隍の特色を表現しており、同時に城隍爺の威厳を象徴しています。
「打花草」は迎城隍の陣頭の見どころの一つに挙げられます。主役となる7人から12人の子供が伝統劇の登場人物である生、旦、花婆、乞丐などの役に扮し、南管という楽器が「三千両金」を伴奏する中、名作『繍襦記』の登場人物・鄭元和が科挙を受けるため京に赴いたものの、試験に合格できずに遊郭に溺れ、ついには乞食に身を落としたという伝奇物語を演じます。役を演じる男の子は上半身裸になり、顔と体にペイントを施し、胸と太ももを叩きながら面白い動きを見せてくれます。前進する陣頭に合わせて移動しながら行われるパフォーマンスは街頭劇を彷彿とさせ、全身を使ったユーモアあふれる表現が特徴的です。打花草は台湾で他に類を見ない唯一無二の陣頭です。
人力蜈蚣座は金門浯島迎城隍の西門地域特有の陣頭で、人力で蜈蚣座を担ぐという伝統的な方法が採られている点が特徴で、古くから神様の巡行に参加しています。戦争の影響で規制を受け、1949年以降は巡行へは途切れ途切れの参加となっていましたが、1981年からは毎年巡行に参加しています。蜈蚣座は長さ2メートルの節が16節連なり、各節に座席が2つあるため、民間伝承や忠孝節義の物語の登場人物に扮した子供が32人座ることができます。かつて蜈蚣座は労力を省くために車輪式に変更されたことがありましたが、伝統を受け継ぐために再び人力で担ぐ形式に戻されました。化粧をして座席に座る子供たちは、巡行隊列における注目の的となります。